明日の君を守りたい‐YAMATO2520‐ 金子誠 ボーイズラブ文庫


「そんな勝手な……」。幾つもの楽しい思い出が脳裏に浮かぶ。

唇は冷たくかさついている。墓穴を掘る自分が、今は無性に呪わしい。高宮は大人だ。「俺の心臓は、ちりんだったな」。だが基に握られていたクマのぬいぐるみは、ぐにゃりと頭を後ろに倒し、ピクリともしない。続けてズボンが勢いよく引き下ろされた。

「ちゃんと付き添ってやるから、そんなに膨れるな」。

と呟き、うっとりする微笑みを浮かべた。「だ…駄目だっ…」。白い頬《ほお》に飛び散った血の跡。突然の梶の行動に、柏木の身体が大きく震える。「ハッキリ言うと……その……嫌じゃ……なかったんだな」。玲司は勇太郎を驚かさないように、ゆっくりと彼の背に腕を回す。

高宮は大人だ。直紀はガシッとタキにしがみつくと、唇を尖らせながら拗ねてみせる。友紀宗は腕を組んであぐらをかき、首を捻る。周囲には常磐の友人や、おそらく砂奈の友達など多くの見知った顔もあった。「言葉にしたら、いろんなことを実行しそうになるからな」。「浩一はあまりにも無防備だね。もし彼女が、殺人鬼だったらどうするんだ」。そんな展開を思うと、滅多にないことだが、全身が熱くなるような気がする。

俺に何されても怒らないから。泣き叫び、苦痛に何度も失神して――。時差があるのは知っているが、留守電にメッセージを入れておけば、今日中に折り返し返事がくるだろう。「すみません。紅茶が社交のための大切な小道具だというのは、知っています。けれど今日いただいたお茶は、それだけじゃなかった。僕にとっては、特別の紅茶でした」。


ボーイズラブ小説作品紹介


誠人は高校を卒業すると故郷から逃げるよう東京へとやってきた。それから一年。その日はハタチの誕生日だというのに、冷たい恋人にデートをドタキャンされ誠人は塞ぎ込んでいた。そんな誠人を励ましてくれたのは、誠人が働く店の客の浩太だった。その日から急速に距離が縮まっていく二人。恋人以上に連絡を取り合い、休みの日にはどこかに出かけた。実際、浩太は恋人よりもマメで優しかった。しかし、ある時から誠人は浩太のいくつかの嘘に気づきはじめて……。

タイトル:嘘つきな唇にキス